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令和8年1月8日(木)まで冬季休館中です
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世界最大級のナメクジとカタツムリ
東海化石研究会 加藤久夫・川瀬基弘
令和8年1月9日(金)~4月5日(日)
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はじめに

 アワビやサザエのような海に棲む貝に対して、陸に棲む貝をカタツムリ、デンデンムシ、マイマイ、あるいは陸貝(陸産貝類)と呼びます。嫌われもののナメクジ(重い殻を捨てて粘液で乾燥に耐えるカタツムリの進化形)の仲間も陸貝です。

世界でも稀な特別展

 陸貝の展示といえば、どこの博物館もカタツムリの殻だけを展示して、軟体部は生態写真で紹介するのが一般的です。軟体部を生きたままの状態で標本にすることができないからです。しかし、今回は軟体部を精巧な模型で再現することに成功しました。さらに殻をもたないナメクジに至っては、展示がほぼ不可能でしたアルコールやホルマリンなどの液浸標本では,体が収縮・退色して色や模様は失われます。今回はナメクジ類もまた軟体部の表面彫刻や色や模様まで実物に忠実に模型で再現することに成功しました

模型と標本の融合作品

 陸貝の軟体部をリアルな模型で再現し、殻は実物を使用しているため、完成度の高い作品となりました。このような展示は世界的にも前例がほとんどありません。

カラフルなカタツムリ

 日本の陸貝の多くは殻が地味な黄土色や黄褐色をしていますが、外国の陸貝にはカラフルで美しい模様や不思議な形をした種類がたくさんいます。日本では出会えない世界各地の珍しい陸貝も紹介します。

世界に何種の陸貝がいるのか

 陸貝は日本国内で約900種、世界ではなんと約35,000種が知られています。地元の愛知県だけでも約150種、名古屋市のような大都会ですら約60種が確認されています。ではいったいどこにこんなに多くの種類が棲息しているのでしょう。実は陸貝の多くは1cmにも満たない微小な種類が多く、湿度のある腐葉土と枯れ枝や落ち葉の隙間に隠れています。篩や洗濯ネットで、自然の残る神社や緑地公園などで落ち葉や腐葉土を飾ってみると米粒よりも小さな陸貝が沢山見つかります。民家の庭の植え込みや銅直えの下側にも陸貝が隠れていることがあります。身近にいるのに意外にその存在を知らずに生活している人が多いようです。

 今回の展示では身近なカタツムリから、世界最大級のナメクジと陸貝までを、リアルな模型標本、生態写真パネルで紹介します

荒木集成館の概要 ~地元の歴史・文化がわかるコレクション館~

荒木集成館

 荒木集成館は、集成館という名があらわすように、考古を中心としたあらゆる収集品(コレクション)を展示・紹介する博物館です。

 1952(昭和27年)、中学教師だった荒木實は、生徒の拾った一片の土器をきっかけに考古学の研究をはじめました。そして多くの遺跡の発掘調査に参加し研究を続け、1970(昭和45)年10月31日、名古屋市千種区に自らの力でミニ博物館「荒木集成館」を設立しました。

 その後、1978(昭和53)年12月14日、天白区に財団法人荒木集成館として移転。そして平成25年12月3日付けで荒木集成館は「財団法人」から「公益財団法人」になりました。

 二階の常設展示室では、土器や石器などの考古資料を時代ごとに展示しています。特に荒木自身が発掘・調査研究を行ってきた「東山古窯址群」と呼ばれている昭和区・千種区・天白区の遺跡からの出土品が、展示の中核となっています。

 一階の展示室では、化石・陶磁器などジャンルを問わず、さまざまな展示会が行われています。ここは、一般の収集家や研究者の方々の長年の成果を発表する場となっています。当館が収蔵する江戸時代から昭和にかけて数多く焼かれていた名古屋のやきもの展示も定期的に行っています。

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