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No.236 日本のアンティークしおり展
~蘇る明治・大正・昭和のニッポン~
令和2年9月12日~12月6日(金・土・日開館展示)
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しおりに魅せられて

 かつて、テレビもインターネットもなかった時代、新聞や雑誌などの紙媒体が企業広告の最も重要な手段の一つでした。

 欧米では、1880年代頃から栞が企業宣伝の重要な一手段として盛んにつくられるようになり、日本においても1890年代(明治20年代)に入ると、栞が宣伝媒体として流通するようになり、さらに大正時代に入ると、医薬品や化粧品、食品、衣料品や文房具など、さまざまな商品の宣伝媒体として栞が盛んに利用されるようになりました。

 できる限り長く手元に置いてもらい、より宣伝効果が高まるようにと、裏面を時間割表やカレンダーにしたり、中原淳一、高畠華宵、蕗谷虹児、加藤まさをなど、当時を代表する人気挿絵画家達が起用されるなど、さまざまな工夫が施されるようになりました。

 栞として使われることもなく大切に引き出しに保管されたり、本の中に閉じ込められたまま永い年月を経た後、突如として光を浴び、あたかもつい最近つくられたかのような状態で現代に蘇り、明治・大正・昭和の各時代の風俗、世相、物価、流行など、当時の貴重な情報を私たちに伝えてくれるようになりました。

 「栞は時代の写し鏡」、ノスタルジックで抒情的な「小さな美術展」をお楽しみ下さい。